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俳句の作り方、歴史、俳人を探求。日本俳句研究会

書評

教科書にでてくる俳句

著者後藤長男 /沢田 こずえ/小林 将/森 有子
ジャンル漫画俳句入門
出版社:くもん出版
発行年月:1988年12月

解説

 この本はまんがによって、500年間の俳句の歴史をたどり、主要な作品を紹介しています。季語や切れ字などの俳句独得の表現についてもわかりやすく説明しています。小学中級以上向き。

特徴

・初心者、子供向け。
・歴史上の著名な俳人を紹介しています。
・俳句の歴史についても触れています。
・俳句の作り方についても簡単に解説しています。
・絵のタッチはリアル志向です。
・まじめな内容です。

書評

 非常に真面目に、名句とその作者の解説を行なっている本です。
 漫画という形式ですが、絵のタッチはリアル志向で、読者を笑わせたり、事実を茶化したりするよう描写は一切ありません。

 かといって、必要以上に肩肘を張っていたり、古典からの引用など、難解な解説をすることもありません。
 要点だけを、見開き二ページ内で簡潔に述べており、わかりやすいです。

 小学生高学年向けとされていますが、これは大人が読んでもためになる内容だと思います。むしろ、小学生だと、やや高度に感じるかと思います。

 本の構成としては、見開き一ページの左側に大きく名句を書き、漫画で作者が句を作ったときの状況、句の意味を解説します。
 見開きのページ下部には、作者の略歴を載せています。この中には、他にも知っておくべき、作者の名句とその簡単な解説も挿入されており、非常にページ内の情報量が濃くなっています。

 日常のちょっとした気づきや、動植物に接して感じた素朴な心の動きから、名句が作られたことがわかって、ほのぼのとした気持ちになれます。
 俳句というと、高尚な芸術のようなイメージを持たれがちですが、実はちょっとした感動や感慨を切り取って生み出される世俗的な文化であることがわかります。
 漫画という格式張らない媒体のためか、俳句の伝説的な達人たちも、当たり前の感情を持つ一人の人間だったのだということが、良く伝わってきます。

 全体の流れとして、室町時代の俳諧師、山崎宗鑑の句から始まって、江戸時代前期、中期、後期、明治時代と時代を上っていく形を取っており、俳句の歴史もたどれる内容になっています。
 また、松尾芭蕉、正岡子規などの特に有名な俳人については、漫画で数ページにわたって解説されています。
 俳句の作り方も非常に簡略ながら挿入されています。

 俳句の歴史、俳人、名句の解説、俳句の作り方の教授と、一冊で俳句について重要なポイントをすべて網羅しています。

 もし、あなたにお子さんがいて俳句のことを知って貰いたいのでしたら、これを一冊図書館から借りてきて、渡してあげると良いと思います。
 古い本であるため、残念ながら絶版となっており、図書館からでないと入手は困難でしょう。

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